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術後

胃がん術後の後遺症

 胃がんの手術では、通常胃の3分の2あるいは胃のすべてを切り取ってしまいます。これまであった胃が一部あるいは全部なくなってしまうので、多少なりとも障害(後遺症)がおこることは避けられません。しかし、それらをよく理解し上手につきあっていくことで、十分な社会生活が可能です。

(1)小胃症状、消化吸収障害
 胃がなくなることの最大の後遺症で、一度に食べられる食事の量が少なくなることが主な原因です。かなり個人差がありますが、手術後はどうしても体重が減ることは避けられません。もとの体重の一割ぐらい減ることが多いようです。

(2)ダンピング症候群
i)早期ダンピング
食後20〜30分で、めまい、動悸、しびれ、全身倦怠、腹痛、嘔吐、下痢などがおこることがあり早期ダンピングと呼ばれています。胃がなくなると、食物が急激に小腸に入るため、腸がびっくりしてしまう症状と思ってください。手術をした人の10〜20%にみられます。対策は蛋白質が多く炭水化物が少ない食事を5〜6回に分けて食べることです。通常は手術後の時間がたつにつれて軽快します。

ii)後期ダンピング
後期ダンピングは食後2〜3時間で起こる低血糖症状が特徴です。冷汗、めまい、空腹感、倦怠感などが起こります。胃の手術後は食物が急激に腸に入るため、糖の吸収が急激におこり血糖値が上がります。体はこれに反応して、血糖を下げるインスリンというホルモンをたくさんだしますが、その時はすでにお腹のなかの食物はなくなっており、血糖が下がりすぎてしまい、この症状が出現します。アメをなめたり甘いジュースを飲んだりすると、すぐによくなります。やはり、血糖が急激に上がりやすい炭水化物が多い食事を避けることや間食をとることで防げます。こちらも時間がたつにつれ治ってしまうことが多いようです。

(3)貧血
 胃の手術をしたあとに貧血(血液の成分である赤血球やヘモグロビンが少なくなること)になることがあります。貧血になると息切れ、めまい、疲れやすいなどの症状がでます。俗に立ちくらみや失神を(脳)貧血と言いますが、これは血圧が下がったりして脳へ行く血液が不十分となることで本当の意味の貧血ではありません。
胃の手術のあとの貧血の原因は、主に赤血球やヘモグロビンを造るもとである鉄やビタミンB12が不足するためにおこります。胃がなくなると、これらの栄養素をちゃんと食べていても、吸収されにくいために不足してしまうのです。例えばビタミンB12の吸収は、胃壁の細胞から放出される内因子と呼ばれる物質の助けが必要です。したがって胃を全部とってしまった場合に貧血は起きやすくなります。手術のあとしばらくは、体にこれらの栄養素の蓄えがあるため大丈夫ですが、2〜3年以上たつと要注意です。定期的に検査をして飲み薬や注射で補う必要があります。

(4)逆流性食道炎
 健康なヒトでは、胃の内容が食道へ逆流しないような“弁”の働きが備わっています。胃を切り取ってしまうことで、この“弁”の働きが損なわれると、消化液が食道へ逆流し、胸焼け、胸痛、苦い水が上がってくるなどといった症状があらわれます。これを逆流性食道炎といいます。重力で逆流が起こるので、寝ているときに起きやすくなります。食後にすぐ寝ないことや、胸焼けを防ぐ薬で治療しますが、最悪の場合は手術が必要となる場合もあります。

(5)その他
 カルシウムの吸収が悪く骨粗鬆症になりやすくなったり、胆石ができやすくなったりすると言われています。

(6)残胃のがん
 胃の一部を切り取った場合、残った胃にまたがんができることがあります。がんができる確率は、一般の人よりも高いといわれており、また残った胃にできたがんは進みが早く治療成績が悪いのではないかともいわれています。定期的な検査で早い時期に発見することが大切です。少なくとも1年に1回は内視鏡検査を行うことが奨められます。

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